新型コロナウイルス胃腸炎とその他の胃腸炎の違い

  • 2020.06.26 Friday
  • 20:50

 新型コロナウイルスが胃腸炎症状(嘔吐、下痢、発熱)を起こすことが明らかになっています。胃腸炎が多く発生するこの時期に、その他のウイルス性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルス)との見極めをどのように行うべきか検討しました。

 まずは感染症学会に報告された新型コロナウイルス症例報告から胃腸炎症状を示したケースを調べたところ、16名の方が該当しました。症状別では下痢が14名、嘔吐が2名で症状の重複は見られませんでした。嘔吐、下痢の両症状を伴うことが多いノロウイルスやロタウイルス性胃腸炎とは明らかに異なっています。そして新型コロナウイルス胃腸炎では下痢症状以外に咳、咽頭痛、嗅覚障害などの症状を合併することが認められています。

 

 これらの症状の違いは、それぞれのウイルスが感染しやすい場所が異なっていることが原因であると考えています。ノロウイルス、ロタウイルスは小腸上部(胃に近い側)に感染するため、下痢以外にも嘔気、嘔吐症状が強く出ます。これに対し新型コロナウイルスは回腸(小腸の下部で胃から遠く大腸に近い側)に感染するため嘔気、嘔吐症状が出にくく、下痢症状がメインになっているものと考えています。

 

 新型コロナウイルスが細胞に接着するための受容体(ACE2)と細胞内に侵入するのを助ける酵素(プロテアーゼ)が特に多い場所(すなわち感染しやすい細胞が多い場所)は肺胞、回腸、鼻粘膜であることが最近の研究で明らかにされました。下痢症状以外に咳や嗅覚障害を伴いやすいことも理屈的に合致しています。

 

 今年度以降の胃腸炎症状の診察の際には、新型コロナウイルス胃腸炎の特徴を意識しながらの対応が求められます。

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